消費税を学びなおす16~納税義務の免除その2~
こんにちは。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。この記事をご覧いただいて、ありがとうございます。
「あえて」免税事業者でなくなる
基準期間の課税売上高が1000万円以下の場合は、消費税の申告納税義務が免除されます。
せっかく消費税が免除されるのに、あえて消費税を納税する課税事業者となるための手続きが存在するのです。
どういう手続きか?
- 消費税の免税となる事業者が
- 基準期間の課税売上高が1000万円以下である課税期間について、
- 「課税事業者選択届出書」を提出する
一応念のため。基準期間の課税売上高が1000万円を超える課税期間については、届出を出すまでもなく課税事業者ですからこの手続きはできません。
あくまで、本来は免税事業者となる1年だったのにあえて課税事業者になるための手続きなので。
それと大事なこと。
この届出、提出した日の課税期間ではなく、次の課税期間から効果が発動します。課税事業者になりたい課税期間の、前年のうちに提出する必要があります。
今年は課税事業者になろうかな、と思っていた時点で手遅れです。
例外もあります。
新規開業の場合。こういう場合は、前年のうちに提出することはできませんので、その年のうちに届け出を提出すれば、最初から課税事業者となることが可能です。
どんな場合に課税事業者を選ぶのか?
よくあるのが、設備投資を計画している場合。
こういう設備投資は、法人税・所得税の世界では「減価償却」という手続きで長年かけて少しずつ費用にしていきます。
でも、消費税は減価償却の考え方はありませんので、設備投資にかかった消費税の金額はそのままその年の消費税の計算に使えます。
消費税の計算は、
売上にかかった消費税-仕入・経費にかかった消費税
で計算します。
「仕入・経費にかかった消費税」は、設備投資の分も含まれますので、この数字が大きくなれば消費税はマイナスになる可能性も。
そうです、消費税が還付になる申告ができるかも、ということなのです。
ただ、免税事業者は、消費税の申告を出すことができません。たとえ、還付になる場合でも、です。
そのため、このようなことが事前に予想できるから、あらかじめ届け出を出しておくというのも、選択としてはあり得るでしょう。
課税選択したけど、やっぱりすぐに免税事業者に戻りたい・・・できる?
できません。
課税事業者にあえてなった場合、最低でも2課税期間は課税事業者として申告する必要があります。
2課税期間目の初日から課税選択の不適用の届出を出すことができる、つまり、その翌年から課税事業者の選択の効力が無くなりますので、それまでは、2課税期間は本来は免税事業者であったとしても消費税の申告が必要になります・・・。
ですので、課税事業者の選択は、慎重に検討しましょう。