消費税を学びなおす15~納税義務の免除~
こんにちは。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。この記事をご覧いただいて、ありがとうございます。
まず基本から
よく聞く、2年前の売上が1000万円超えると消費税を申告する必要があるというもの。
正確に押さえておきましょう。
- 事業者のうち
- 基準期間における課税売上高が1000万円以下であり、
- インボイスの登録をしていないこと
1000万円かどうかはあくまで「基準期間」で見ます。「今年」の課税売上高がいくらか、というのは関係ありません。
インボイスについて念のため。
2023年10月からインボイス制度がスタートしています。
このインボイスに登録すると、売上の金額に関係なく消費税は申告する義務が出てきますのでご注意!
基準期間の考え方
- 個人事業者→前々年
- 法人→前々事業年度
これが基本。要は2年前の売上がどうなのか、ということです。
少しトリッキーなのが法人。法人は、決算月を区切りに事業年度が設定されます。この決算月を途中で変更したりなどできたりします。
この場合、基準期間をどう考えるのか。
もし。前々事業年度が1年未満となっている場合は、
事業年度開始の日の二年前の日の前日から同日以後一年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間
で判断します。
当てはめは慎重に。
ちなみに、こういう基準期間が1年でない法人さんの場合、その課税売上高をストレートに判定基準に使ってしまうと、基準期間が1年の法人さんと不公平ですから、こういう場合は基準期間が1年になるように割り返して課税売上高を計算することになります。
「基準期間」の課税売上高の考え方
うっかりすると間違えそうなところです。
まず大前提から。
- 課税売上高は「消費税抜き」の数字です。
ここで「消費税抜き」とわざわざ言っていますので、当然、自分が免税事業者だったときが基準期間になる場合は要注意です。売上の数字をそのまま使うんですよ。間違っても割り戻さないように。
え?免税事業者のときも消費税を載せて売上を請求していた?
それは関係ありません。消費税相当額を含めて、全部が売上として計算することになります。
そして次。
- 課税売上高には「免税売上」も含まれる。
非課税の売上とか、そもそも消費税の対象ではない売上は含みません。
- 返品や値引きなどがある場合は、マイナスする
「売上に係る対価の返還等」というやつです。言葉そのものは置いておきましょう。
気を付けたいのは「売上割引」。これ、会計の世界では「費用」に分類されるもの。消費税の世界と考え方が違っていますので要注意。
あ、もちろんマイナスする数字は、「消費税抜き」の数字ですからね。気を付けましょう。