調査部の税務調査④~調査に入る前に~
こんにちは。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。この記事をご覧いただいてありがとうございます。
「税務調査開始」のその前に
税務署の対法人調査と最初の段階からいきなり違ってきます。
税務署の場合は、
納税者(関与税理士)に連絡して「調査宣言」→「事前通知」を行い日程や調査の際に用意する書類などを伝える→会社事務所へ伺う
となりまして、会社に伺って即、税務調査に入る形になります。
調査部の場合は、
納税者に連絡して「調査宣言」→会社事務所へ伺い、「事前通知」。→併せて、用意をお願いしたい書類などを「打ち合わせ」→2~3週間ほど間をあけて「税務調査」開始
となります。
「打ち合わせ」がポイント
なんで、こんなまだるっこしいことをするのか?
調査部で所管している法人さんは、上場会社を中心に「大規模」な組織で成り立っています。
税務署の調査のように、社長さんや経理担当の方に、
「あの書類ありますか?」
と聞いて、その場で出してもらえる。
そんなことは、調査部の調査では基本的にはありえないのです。
調査部の税務調査の際に、応対していただけるのは経理部署の社員の方です。
経理部署の方に、会社の事業や使用している資料などについてあれこれ質問しても、経理部署で把握している範囲でしか回答は帰って来ません。
そのため、例えば、営業部署や工場などで使用している資料を確認したいという場合、
経理部署経由で担当部署へ提出依頼→担当部署内で資料を用意→経理部署と担当部署で調査官へ提出する資料の確認→調査官へ提出
と一般的にはなります。
調査官が依頼してから手元に資料が届くまで、一週間以上かかることも普通にあります。
下手をすると、資料をお願いしているだけで調査日程が終わってしまいます。
また、調査の上で、担当社員の方を対象にヒアリングをすることもあります。この場合も、担当社員の方と日程を調整する必要があります。
今日お願いして明日ヒアリング。できるわけがありません。社員の方も予定があります。
そして、ヒアリングがスムーズにできたとしても。ヒアリングをして調査終了、という訳ではありません。ヒアリングをしたうえで、必要であれば資料の提出をお願いします。その資料を検討した結果、再度のヒアリングも必要になるかもしれません・・・。
「調査開始」の時点でスタートダッシュできるように
このように、
調査部の税務調査は、とにかく時間がかかる
のです。
会社側の内部でのアクションにかかる時間を想定して、調査を進めていく必要があります。
そのためには、調査開始前の「打ち合わせ」で、
- 調査の際に確認したい資料の提出依頼。
- 調査の際にヒアリングしたい部署との日程調整依頼。
この2つを軸に行い、税務調査開始の時点で確認したい資料が会議室にそろっており、ヒアリングの日程が固まっている状態となって、初めて調査のスタートが切れる状態になっていると言えるのです。
調査部の場合は、この「打ち合わせ」が実は一番大切なものだったりするのです。