棚卸資産(仕掛品)計上もれ(税抜経理)
こんにちは。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。この記事をご覧いただいて、ありがとうございます。
設例
3月決算の法人。当期の3/31に仕入れた商品、税込み1,100,000円を売上原価に計上していたが、期末時点で在庫に残っているにもかかわらず棚卸資産に振り替えていなかった、というケース。
さて、修正仕訳を考えていきましょう。
現時点の仕訳は以下の通りです。
(借方) | 売上原価 | 1,000,000円 | (貸方) | 買掛金 | 1,100,000円 |
仮払消費税 | 100,000円 |
正当な仕訳は以下の通りです。青字の部分の仕訳が抜けています。
(借方) | 売上原価 | 1,000,000円 | (貸方) | 買掛金 | 1,100,000円 |
仮払消費税 | 100,000円 | ||||
棚卸資産 | 1,000,000円 | 売上原価 | 1,000,000円 |
修正仕訳です。この仕訳を別表4,5(1)で表現します。
(借方) | 棚卸資産 | 1,000,000円 | (貸方) | 売上原価 | 1,000,000円 |
別表調整
まずは、別表4。別表4は、税務上の損益計算書などと呼ばれています。そこに、もれていた棚卸資産100万円を加算しましょう。そして、すぐ隣の留保欄にも100万円を記入することを忘れずに。
続いて、別表5(1)。こちらは表を見てみましょう。
期首 | 増加 | 減少 | 期末 | |
棚卸資産 | 1,000,000円 | 1,000,000円 |
別表5(1)は、税務上の貸借対照表などと呼ばれておりまして、主にB/S科目をこちらで表現します。
これは何をしているのでしょうか。
会計上の決算書には、税務上は計上すべき棚卸資産が100万円分載っていません。棚卸資産が100万円分少なく計上されている状態です。
そこで、税務上の貸借対照表である別表5(1)に棚卸資産を100万円分載っけることで会計と税務のズレを補正し、課税所得を100万円分増やすことで、棚卸資産に振り替えられた売上原価100万円分の減少を表現している、ということになります。
翌年の別表調整
前年に修正申告して終わりにはなりません。
別表5(1)には、前年度からの棚卸資産が引き続き残っている状態となっています。
このままでは、会計と税務がズレたまま。このズレを解消する必要があります。
今回の設例では、「前期末に仕入れた商品が棚卸資産に計上されていなかった」というもの。
とはいえ、前期の決算を訂正するわけにもいきません。
そこで、進行期で以下の会計上の仕訳を行います。
(借方) | 棚卸資産 | 1,000,000円 | (貸方) | 売上原価 | 1,000,000円 |
修正仕訳を行いましょう。
この仕訳を行うことで、会計と税務のズレが解消されることになりますので、法人税の別表でも連動させます。
別表4で、「棚卸資産計上もれ認容」とでもしまして、100万円を減算・留保欄に記載します。
続いて、別表5(1)で
期首 | 増加 | 減少 | 期末 | |
棚卸資産 | 1,000,000円 | 1,000,000円 | 0円 |
となります。
これで、別表調整は完了です。