「経費」の考え方
こんにちは。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。この記事をご覧いただいて、ありがとうございます。
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基本的な考え方
事業の税金を計算するうえで、「何が経費になるのか」ということは非常に重要なこと。
ただ実際のところ、税金の計算ということ以外にも、「ビジネスの売上がどういったところにお金を使って生まれてくるのか」を測定する方が大事だったりはします。
さて、所得税ではどのように取り決めがされているのか。↓
①総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額
②その年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用の額
③償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く
内容を詳しく解説
取り決めを読んでみると、「直接に要した」「業務について生じた」という文字があります。
これは、自分のビジネスと関係のない費用は、経費になりませんという考え方をしているということ。
これが大前提。
そのうえで、内容を見ていきましょう。
①売上原価、直接に要した費用の額
→わかりやすい例でいうと、「商品の仕入」。あるひとつの仕入とあるひとつの売上がダイレクトに結びついているもの。この売上を上げるためにこの仕入がかかったと直接わかるもの。
モノを仕入れて他者に販売するというビジネス形態の方が、一番わかりやすいと思います。
逆に私のような士業では、この売上原価、あまり関係ないです。私は、税金の書籍を購入することを個人的に「仕入」と呼んでいますが、別にこの書籍を買ったからこの売上が上がったということは基本的にはありません。学んだ知識は様々なお客様のお役に立てることができますし。個別的に結びつけるのは不可能です。
②販売費、一般管理費、業務について生じた費用の額
→わかりやすい例でいうと、「事務所の水道光熱費・家賃、人件費」、といったものです。あとはビジネスで使用しているスマホの通信費とか。
あとは、仕事に関係する書籍を買った場合なども入って来るでしょう。
①と違って、「支払った費用はこの売上と結びつく」とはならないということ。この電気代のうち〇円は、〇月〇日の売上に結びつく、ということは、難しいでしょう。事務所の家賃やスマホ代もそうです。
②に該当するものは幅広くあるかと思いますので、ご自身の支出を一度見直してみるのもいいでしょう。意外と経費、もれているかもしれません・・・。
③償却費以外の費用で債務の確定しないものを除く(何気に重要)
→「債務の確定」するには条件があります。1.年末までに売買の契約が成立していること。要は、購入の申し込みをしていること。2.年末までに購入した商品が届いていること。もしくは、年末までにサービスの提供を受けたこと。3.金額がはっきりしていること。
この3つの条件を満たしていない費用は、「債務の確定」していないので費用として認めない、ということになります。
さて、3つのうち重要なのは2です。
例えば、ネット通販で商品や消耗品を買った場合、年末までに届いていないとそれは「その年の」経費にならないということになります。
例えば、翌年1月に開催されるセミナーの代金を12月中に支払っても、それは前払費用となり、「その年の」経費になりません。
安心してください。「その年の」経費にならないだけで、翌年の経費になることが多いので。
いちばん大事なこと
これまでは理屈についてお話してきました。
経費について、一番大事なことは、何より「経費を使った自分自身が、他の方になぜ経費になるのか説明できるか」ということです。
税務調査の時には、税理士もなぜ経費になるのか援護射撃は致しますが、やはり自分が使った経費はご自身で説明をしていただきたいというところ。
使った本人でも説明がつかない経費は、税理士でもどうしようもありません。
なお、「こういうものを支払ったが、経費になるのか話を聞きたい」「ビジネスで使ったのは間違いないが、どうやってエビデンスをそろえればいいのか相談したい」ということでしたら、こちらからご相談を承っております。→単発相談