税務署の法人税調査⑥~調査モデルケース~

2024年6月9日

こんにちは。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。この記事をご覧いただいて、ありがとうございます。

初日の午前中:まずは会社のことを教えていただく

税務調査にお伺いするときは、大体は朝10時開始でお約束することが多いです。

事務所にお伺いして、名刺交換して調査がスタートしますが、実は、ここからが一番大事なのです。

会社事務所にお伺いして、いきなり帳簿や請求書をめくるようなことはしません。

最初に行うべきことは、

社長さんから会社のこと、事業のことを教えてもらう

ことです。

会社立ち上げの経緯から、取引の一般的な流れ、お仕事で使われる書類など。

調査官は、税務調査にお伺いする際に、事前に会社の申告書をチェックして決算の中身を読み込んできています。

決算書のどこに着目して調査をするのかも、あらかじめ想定はしています。

とはいえ、実際に社長さんからお話を伺ってみると、決算書を眺めているだけではわからないこともいろいろ出てきます。

初日の午前中に、社長さんとコミュニケーションを取りながら事業について詳しく教えてもらい、

午後からどこを調査するか、軌道修正

しています。

自分が、最初に調査をしようと思っていた項目の優先順位を入れ替え、追加します。

つまるところ、午後から、どの勘定科目に関係するどの書類をどうやって検討していこうか、頭の体操をしながらお話を聞いています。

ここでちゃんとお話を伺えていないと、調査の方向性が間違ったまま進んでしまい時間を浪費してしまいます。

私自身、税務調査を担当したばかりのころはここに一番苦労しました。

当時20第半ば、中小零細企業の社長さんは50代60代、何だったらそれ以上の方が多い。どう話をしたらいいものかと、結構悩んだものです。

初日の午後~2日目の午前中:帳簿、書類の確認

午前中のヒアリングも、12時少しくらい前には終わるでしょう。お昼休みに入ります。

ランチをしながら一息つきます。

私は、こういうときにどのお店で昼食をとるか、結構楽しみだったりします。

税務調査をきっかけに訪れる地域も多いですからね。その地域で昔から営業している定食屋さんに入るのもいいし、ゆっくりできるファミレスでもいいし。

ここは個々人の好みに分かれることでしょう。

13時に事務所に戻り、午前中に伺ったお話を整理して、いよいよ帳簿、書類の中身を検討していきます。

時間は意外とありません。

16時ごろには午後の作業をまとめて、社長さんに質問することがあれば質問して、税務署に戻ります。

私が税務署で税務調査をしていたときは、17時までには税務署に戻れる時間帯に事務所を失礼していました。

そうなると、午後作業できる時間は正味3時間、でしょうか。

調査の明暗はこのタイミングで分かれてきまして・・・

  • 申告内容に間違いを見つけた、不審な取引を見つけた
  • 指摘できそうな項目が見つかっていない

で大きく分かれます。

この段階で、指摘できそうな項目が見つかっていれば、そこを2日目に深堀して数字を確認して調査終了、に向かうことができます。

逆に、特に何も見つかっていない場合は、2日目に何かしら見つけねば、とあせります。苦しい戦いです。

2日目:初日の疑問点を解明、納税者に調査の状況をご説明

2日目の調査も、10時からスタートします。

ここからは初日に目を付けていた項目を深堀して検討していきます。

そして、会社の方にお願いして調査資料のコピーをもらったり、質問していた項目の回答を伺ったり。

午後からは、もう新しく別の調査項目を見たりはしません。

指摘項目の整理をして、足りなそうな資料があればコピーなどをもらいます。

大体、15時くらいですかね。

調査の状況を社長さん(+顧問税理士)に報告します。

修正が必要な項目をご説明します。

ここで会社さんと修正項目の合意ができれば、事務所に伺っての調査は終了、です。

会社さんの見解が違えば、また別途、時間を取って協議、となります。

さて、私が思うに、理想的な展開としては、

初日の段階で指摘項目を複数発見→2日目の午前中で資料収集→2日目の午後に会社側と打ち合わせ→調査終了

です。

2日間で調査に区切りをつけることができれば一番良い展開です。(私見)

なぜか。

税務署の一般的な法人税調査は、年間で数十件、調査を担当することになります。

だいたい、毎週1件ペースでどんどん税務調査に行きます。

そうすると、2日間で区切りをつけないと、続行している調査案件が山積みとなってしまいます・・・。

もちろん、会社が何かしら不審な会計処理をしていて不正な取引がありそう、など確認に時間がかかるという場合は話は別です。数カ月かかっても、徹底的に事実関係を解明し、適正な課税を行います。

要は、2日間で調査を終わるか、引き続き調査を続行するか、この判断ができるような調査をすることができるかどうか、です。

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Posted by tatsuya murata