税務調査における「売上原価」の否認
こんにちは。東京・練馬の税理士、村田龍矢です。この記事をご覧いただいて、ありがとうございます。
ポイント:売上との対応
調査で検討するポイントは基本的に経費と同じようなものですが、唯一違うところは
売上と対応している売上原価なのか
というもの。
売上原価は、
- 当期中に購入した材料が納品されていたり、
- 外注先に依頼していた作業が当期中に完了していた場合でも、
対応する売上が上がっていない場合は費用にならない
というルールがあります。
ここは、私が国税調査官になりたての頃、考え方を理解するのに苦労した部分です。
否認パターン①:棚卸資産計上もれ(仕掛品計上もれ)
これは分かりやすいパターンです。
作業期間が長期間にわたるけど、作業が完了するまで売上の請求書が出せないパターン。このような場合は、売上を計上するまでにランニングコストがひたすら出て行っていることが多い。
仕入や外注費などを見ていって、この現場はまだ売上が上がっていないなというものがあれば、決算の時に気を付けておきましょう。
決算時に、まとめて棚卸資産or仕掛品に振り替えてしまえばよいと思います。
ただ最近は、作業の完了を待たず、「出来高」で売上の請求書を発行することもあります。このような場合は、このパターンの否認を見つけることは難易度が上がります。
否認パターン②:売上計上もれ+売上原価認容
このパターン。これがなかなか理解できなかったんですよね~
税務調査の際、
村田:「あ、これ売上がもれてます。当期の売上にする必要がありますね」
税理士:「社長に確認したところ、おっしゃるとおり、当期の売上にすべきもののようです。では、その売上に対応する仕掛品○○円分は売上原価として認容していただけますよね?」
という会話を良くしました。最初は、税理士がおっしゃていることがよくわかりませんでした。
だって、売上の話をしているのに、なんで原価の話が出てくるの?と。
最初に書いたポイント
売上と対応している売上原価なのか
が直撃している状態です。
- 売上を当期に計上する→対応する売上原価も計上する
- 売上を当期に計上しない(翌期に計上)→対応する売上原価は棚卸資産or仕掛品として資産計上する
とういうこと。
2番の状態だったものが、私の売上に関する指摘のせいで1番に移行した・・・。
当期の売上がもれていると指摘をした以上、対応する売上原価の計上もまた認める必要がある、そういうことです。